今年は例年にない豪雪の新潟県。今回、フラワーアレンジメント講習会の会場となった犀潟病院(上越市)にも、3月とはいえ、たくさんの雪が残っていました。雪国はいつも春を待ち遠しく思うものなのですが、今年は特別です。今まで経験したことのない水害や地震、そして19年ぶりの大雪に見舞われ、新潟県民にとっては困惑と辛抱の日々でした。
そんな中で行われた講習会。私は「明るい希望と暖かな春の到来を感じてもらいたい」と考え、花材には思いっきり春らしい、柔らかで明るい色を選びました。スイートピー3色(柔らかなピンク・黄色・白)、ピンクのガーベラ、白い小花と新緑がきれいな雪柳、薄紫のスプレイストック、あでやかな黄色が華やぎを添えるオンシジュウム、レザーファン。見ているだけで楽しくなるようなお花たちが並びます。
参加された方は30名。最初にレザーファンでファンデーションワークをした後、私が作ったものを見せながら、「みなさんは目の前のお花を自由に活けてください。何のきまりも制限もありませんので、思うままに伸び伸びと作ってみてください。大きくても小さくても、丸くても細長くても、何でもOKです。自分の気持ちのいいように、お花と遊んでください。」とお話しすると、それぞれが思い思いの作品を作り始めました。ほとんどの方がフラワーアレンジメントは初めてということなので、「自由に作れと言われても、どうしたらいいかわからない。」とおっしゃる方もいるのかな?と思ったのですが、そんな心配は全く無用で、みんな夢中になってお花を挿しています。時々、主治医の先生が冗談をおっしゃったり、手伝ってくださったりするのも楽しい雰囲気作りとなっていました。
そして出来上がったアレンジメントはどれも大胆でおおらかなものなので、びっくり!体がご不自由な方もいらっしゃったのですが、そういうことを全く感じさせないほど生命力にあふれていて、春の息吹を感じさせる作品になっています。お一人ずつそばによって、「いかがでしたか?」とお聞きすると、「お花にさわることができてとても嬉しい。」、「こういうものを自分が作れるとは思わなかった。孫に見せたい。」と、とても喜んでくださり、男性の方々も「生まれて初めて花を活けてみたけれど、なかなかうまくできたと自分で満足している。」、「花なんて自分には関係ないと思っていたけれど、やってみるとなかなかいいもんだね。」と満足いただけたようです。
最後に「どうしても発言がしたい」という女性が、ゆっくりとした小さなお声で、「とても感激しました。こういう機会をまた作ってほしいです。」とおっしゃりました。お話をされることがそう容易ではないご様子のところ、「どうしても言いたいことがあるので。」と発言してくださったことに、「本当にこの講習を喜んでくださったのだ」ということが伝わってきて、私はとても嬉しくなりました。
みなさんが夢中でお花を活ける様子や、出来上がりに満足されている様子は、私の大きな励みになります。この仕事は「お花の仕事をしていて良かった!」といつも思える、とても素晴らしい企画なのです。 |