6月27日、日本イーライリリー(株)さまからのご依頼で姫路中央病院にフラワーアレンジメント講師として行ってきました。フラワーデコレーター協会では、たくさんの先生方が講師をされています。この講習はパーキンソン病の患者さんと、ご家族の方に、フラワーアレンジメントを通して癒しの方法を見出して頂き、新しいリハビリにつなげようという試みのためです。このお話を頂いてからの失敗と新たな経験、そして出会った人たちの温かい心をお伝えします。
私の住む、京都乙訓に在る竹の町、向日市にちなんで、竹を器にしたいと思い、佐川急便さんに相談して地元の東洋竹工さんを紹介していただきました。おかげで季節はずれにも関わらず、思い通りの竹の器を用意することが出来ました。しかし、試しにお花を活けたところ、竹の緑と選んでいた花がミスマッチであることに気付き、アンダートーンを変えて花店に変更をお願いしました。さらに、前日の夕方に予定人数が増え、25人分となった花材は電車で運びきれず、時間外にも関わらず集荷に来て頂き、花店の方のアドバイスをうけながら、大量の切花の梱包をしました。翌日、イーライリリーご担当者の方がお花を受け取ってくださり、たくさんの方が協力してくださった事にとても感謝しています。
こうして、無事に迎えることが出来た講習会は、数人の看護師さんとドクター、そして患者さんとご家族の方で、部屋の中がいっぱいになりました。「パッと咲いている大輪のバラを竹に活けたら、まるでかぐや姫のようでしょう。バラをかぐや姫だと思って真ん中に、一番可愛く見えるように活けて下さい。」
そう言ってデモを始めると、イーライリリーの方に「もう少しゆっくり」とのアドバイスを頂いたので、方法を変えて、ひとつひとつ皆さんと一緒に活けることにしました。
皆さんの作品が完成したころ、一緒に制作をされていた神経内科のドクターが、私に講評を求めて来られたので、「お上手です。こんなところが素敵ですねぇー。」なんて言うと大きな拍手が起こりました。そして次に別のドクターの作品を指して、「これはどうですか?ここはダメだよね?」なんておっしゃると大きな笑いが起きました。それから「じゃぁ、みんなの作品も見てもらおう。」とおっしゃったので、私はドクターと一緒に、それぞれの作品を見て廻ることになりました。ドクターが作品を手にとると、皆さん満面の笑みです。作品と一緒に写真をパチリ。大きな拍手。笑い声。温かい心のふれあい。それらをたくさん感じる事ができました。
そして、患者さんや、ご家族の方と笑顔でお別れをして、講習会を終えました。
予定より少し早く終わりましたが、患者さんが疲れてしまうので、ちょうど良いのだそうです。そういえば、終盤では、寝てしまった方もおられました。ドクターがあのタイミングで皆さんのところを廻られたのは、患者さんの体調を考えておられたのだと気付き、感動しました。イーライリリーさんに、まるで暖かい家庭のようですねと感想を言うと「この病気は長いですからね。家族のようにお付き合いをしていくのですよ。」と教えてくださいました。
テレビ各界で有名な方がご病気になった時、会見やご自身の著書の中で「病気になって人が好きになり、自分が好きになり、人の温かさを知った。」とよくおっしゃいますが、まさにそんな愛情あふれる場所でした。
そのような場所で私も過ごす事ができました。私も人が好きになって、心も優しくなって、そしてみんなの心が元気になりました。今日の経験は、教室を始めてから、人とのつながりが今まで以上に増えた私にとって、意味深いものでした。このような出会いを与えてくださった日本イーライリリー(株)さま、フラワーデコレーター協会の皆様に、心から感謝いたします。ありがとうございました。 |